興福寺北円堂 無著・世親像
史蹟シリーズその2です。奈良の興福寺に現存するもっとも古い建物の一つである北円堂に佇んでおられる「無著・世親像」が今回のテーマです。ちなみに向かって右側が無著、左の若く見える方が世親です。
この二人は5世紀ごろ北インドで法相教学を確立した実在の兄弟で、後の仏教に大きな影響を与えました。
歴史の資料集などの写真で見ると地味なイメージだったのですが、実際に近くで拝観してみるとその存在感に圧倒されます。眼に水晶をはめ込む「玉眼」の手法を使っていることもあり、本当は魂があるのではと思えるくらいの迫力です。
迫力と言っても、不動明王のような荒々しさではなく、像の内面から湧き上がってくるような力強さです。こればかりは本物を前にしてみないと伝えきれません。
仏像には体のバランスとか姿勢が不自然なものも多々あるのですが、この無著・世親像にはその破たんが全くと言っていいほど見られません。二体とも片足をわずかに踏み出しているのですが、法衣の下の筋肉だけでなく、その更に奥の骨盤や背骨までも存在しているかのような造形はさすが運慶一門といったところです。特に無著像の佇まいは、合気道の達人である塩田剛三先生を彷彿とさせ、どこからかかって行ってもひょいと投げられてしまいそうです。
また、弟である世親像は、穏やかながらも全てを見透かしているような眼をしており思わず後ずさりしてしまうほどです。両像とも日本の彫刻の最高傑作と言っても過言ではありません。
毎年春と秋の二回特別拝観期間があるので、ぜひ一度足をお運びください。
多摩市多摩センターの整体院身体均整堂からだや